【完】白衣とお菓子といたずらと
食事は思っていたよりも、和やかな雰囲気で進んだ。


美沙の仕事中の様子は、父親からすると珍しいものなんだろう。仕事の話は興味深そうに聞いていた。


俺の仕事の話、俺の家族の話、ほとんど質問されて俺が答えることが多かった。


探られているような感覚もあったけど、包み隠さずに話をした。


きっと不安なんだろうと思ったから。


娘を信じていると言っていても、本当に俺が信用できる相手なのか見定めたいんだろうって思った。だったら、俺は誠意を見せるだけだ。


少しでもお父さんの不安を取り除ければいい。


いつもよりアルコールが進んだのか、お父さんは途中からすごく気分が良さそうだった。


俺も奨められるままにお父さんに付き合った。


ふと外を見ると薄暗くなっており、随分と時間が経っている事に気づいた。





――プルル…プルルル……プルルル


急に、電話が鳴り出した。


俺のかもしれないと思って焦り、ポケットを触ったところでマナーモードにしていた事を思い出した。


「……もしもし」


お父さんへの電話だったらしい。


慌てている俺の目の前で、冷静に電話に出ていた。
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