【完】白衣とお菓子といたずらと
「あー、あー、分かった分かった。俺は飲んだから……いや、今日は特別だからな。美沙にも許可を得てる……分かった、伝えとく」


誰かに対して弁明を始めた。美沙の名前も出てきたということは……美沙のお姉さんか妹さんか?


電話を切ったお父さんは、美沙のほうへと顔を向けた。


「悪い、美沙。沙里奈を迎えに行ってくれないか?」


……やっぱり、俺の予想は当たりだ。でも、結局どっちなんだ?


答えを求めて、美沙をじっと見つめた。すると、彼女とバチっと目が合った。


「はいはい、いつもの所でしょ?……礼央さん、沙里奈は私の妹。今大学生なの。今からちょっと迎えに行ってくるから、少しここで待っていてくれない?」


なんだ妹か……って、ここで待つ?


美沙が迎えに行くという事は、俺はお父さんと2人きり。


ドクドクドクと鼓動が早くなっていくのを感じた。やばい、また緊張してきている。


初対面で2人きり……さすがに辛い物がある。


けれど、断るわけにもいかない。


「分かった、待ってるよ」


本心とは裏腹に、了解の返事をしてしまった。


そんな俺に気づいているんだろう、申し訳なさそうにごめんねと言って、妹さんを迎えに行ってしまった。
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