【完】白衣とお菓子といたずらと
アルコールが入っていた俺は、車の揺れが心地よくて、いつの間にかウトウトとしてしまっていた。


駐車場に着いたところで、美沙に起こされ自分が寝ていた事に気づいた。


そして、今は……寝室で美沙を待っている。


浴室のほうからドライヤーの音が聞こえてきているから、もうそろそろ美沙もここへ来るだろう。


ドライヤーか……美沙と初めてを過ごした日の事を思い出した。


あれからそんなに経っていないはずなのに、すごく懐かしい。


まさかこんな短期間で、結婚まで決めてしまうなんて、あの頃の俺は想像していなかった。


けれど、俺は後悔なんてしていないし、これは成るべくして成ったと思っている。


それほどまでに、俺の隣に美沙がいることが自然なんだ。







「……あれ?寝ちゃってるかなって思ってた」


考え事をしていて、美沙がこちらに向かっている事に気づかなかった。


静かな足音で、ベッドサイドまで来ると、トスっとベッドに腰を降ろした。


俺の事を上から見下ろす美沙は頬を上気させ、彼女から妙に色気を感じる。これは俺の変化なのか、美沙の変化なのか。


……きっと、どちらもだろう。


「――キャッ」


言葉より、行動の方が早かった。
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