【完】白衣とお菓子といたずらと
いつもと違う一日を送ったあとだったからだろう、2人ともいつもより欲望に忠実だった。


互いに求めあった。……俺の方ががっついていたけれど。


身体だけじゃない、心も満たされたのを感じた。


「……礼央さん?」


疲れて眠っていたはずの彼女が、目を覚ましてしまった。


生まれたままの姿で、彼女は俺にぴったりと寄り添っている。


「起こしちゃった?寝ていていいよ、身体きついでしょ?」


多少、無理させた自覚は俺にもある。


俺の言葉に彼女は首を横に振った。けれど、彼女の目は今にも閉じてしまいそうだ。


我慢せずに、寝てしまえばいいのに。


「もっと礼央さんと居たいの。……幸せをかみ締めたいの」


……美沙。


彼女の言葉に涙が溢れそうになった。少し上を向き、涙が流れないように必死に堪えた。


幸せなのは俺の方だ。


「ありがとう……2人で幸せになろうな」


俺の言葉に、美沙はうんと頷いて、そしてまた夢の中へと旅立っていった。


幸せにならないと、君を愛してくれている君の家族に申し訳ないから。俺が顔向けできないから。


君の家族と同じように、いや、それ以上に君を愛しているから。君と幸せになりたいんだ。
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