【完】白衣とお菓子といたずらと
俺の言葉を聞いた後、安心したように彼女はにっこりと笑った。


小さな声で「よかった」と呟いて。


今度こそ彼女の言葉を聞き逃すまいとしていた俺だから今のが聞こえたんだと思う。


「時々さ、ここに来てくれないかな?入院中って暇で、とにかく寂しいんだよね。嫌じゃなかったらだけど」


「嫌じゃないです」


小川さんはブンブンと首を横に振った。


そんなに大きく振らなくても分かるのに。彼女の行動が可笑しくて、つい笑ってしまった。


「いつでも来ていいから。お見舞いでお菓子もよくもらうから今度は2人で食べよう。仕事で疲れたときの、駆け込み寺みたいな感じで」


少しでも彼女の癒される場所になってくれればいい。


辛いときに利用してくれてもいいから。


「疲れたときなんて言ってたら、毎日になっちゃいますよ」


今はもう辛そうな、悲しそうな顔は見せずに、俺と一緒に彼女も笑ってくれた。


「俺は毎日でも歓迎だから。遠慮せずおいで」


「じゃあ、そうさせてもらいます」


2人で顔を見合わせて笑った。


あっ、1つ発見。綺麗系の彼女が笑うと、少しだけ子どもっぽい表情になる。


やっぱり、笑顔でいてくれるのが1番だな。


笑っていてくれると、俺も嬉しい。

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