【完】白衣とお菓子といたずらと
俺の夕食が来る直前に彼女は「ごちそう様でした」と帰っていった。


今日は、濃い1日だった。


小川さんといつもより急接近。


そうかと思えば、俺の想いは届かない事を思い知らされた。


俺が傷つくだけだと分かっていても、彼女の逃げ場になりたいと思った。


彼女の笑った顔が好きだから。


この辺が“お人よし”“優しすぎる”って言われる原因なんだろうな。


「まーた、失恋決定かな」


誰も居なくなった病室のベッドの上で、1人ぼやいた。


そして、過去の彼女の事を思い出した。


俺を振っていく女達が口をそろえて言っていた、俺が優しすぎると。


誰にでも優しくするのが気に食わないと。自分だけを特別扱いして欲しいと。


もう何度も聞いてきた言葉だ。


未だに優しさの何がいけないのか分からない。


俺を否定するそんな彼女を俺が引き止めることはしない。


そうやって毎度毎度、俺の恋は終わっていた。






今回は……何も始まる前に失恋決定だけど。





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