【完】白衣とお菓子といたずらと
ん?
俺の早くなった鼓動が落ち着いたころ、彼女の視線に気づいた。
そっと彼女の視線を追うと、彼女が見ているのは俺が残しているプリンだった。
俺には甘すぎて、半分も食べれずに消灯台の上に乗せていた。
それを彼女はジーっと穴が開くほどに見つめていた。
「……どうしたの?」
視線が意味する事が気になって、尋ねてみた。
「山下さん、それもう食べないんですか?」
いつの間にか自分の分を食べ終えていた小川さんは、俺が残したプリンを指差している。
それって、これだよな?
「食べないけど?」
食べないけど、それがどうかしたんだろうかと首を傾げた。
彼女の言っている意味が分からず、とりあえず次の言葉を待った。
「……食べないなら、もらっていいですか?」
……は!?
言うと同時に、プリン目指して一直線に腕を伸ばしていた。
いや、いや、いや、ちょっと待てよ。それって、俺の食べかけなんだけどな。
1人でおろおろと焦ってしまった。