【完】白衣とお菓子といたずらと
優しくしてもらえますか?
受傷から丸々3週間以上経って撮るX線写真。


それを見た先生は、にっこりと言った。


「うん、OK。仮骨が出来てるね。ほら、骨梁も分かるようになってきただろ。よし。予定通りギプスカットしようか」


なぜに先生はこんなにも楽しそうなのか。


いや、俺も仮骨出来てるのは嬉しいよ。


けれど、そんな顔で言われると……なんか恐いんだけどな。


俺が整形外科病棟に勤めてい頃の患者さんの様子が、フラッシュバックしてきた。


みんな口をそろえて言っていた。


「こんなはずじゃなかった」と。


固定中は痛みも随分と良くなるから、骨が繋がりさえすればすぐにでも歩けるようになると思ってしまうらしい。


けれど、そんなに事がうまく運ぶことはなく、痛みもあるし、力も弱っているし、関節も硬くなっているしで、固定が取れてからがやっとリハビリという感じらしい。


嘗て看てきた人たちが嘆いていた様子が思い出された。


「分かっていると思うけど、リハビリは今からが大変だからね。あー、まだ免荷には変わりないからね。来週くらいから少しずつ荷重していくから。詳しくはリハビリから指導してもらうよ」


「……はい、分かりました」


いよいよ本格的にリハビリが始まるらしい。


早く仕事復帰しなくてはならないから、無理はしない程度にだけど、自分で努力をしていかなければならない。


けれど、頑張ろうという気持ちと同じくらい、寂しいという気持ちが、今の俺の心を占領している。






固定オフ=ベッドサイドリハ終了


今日から小川さんと2人きりの病室でのリハビリはなくなるからな。
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