【完】白衣とお菓子といたずらと
小川さんの話を聞いている間に、あっという間にリハビリ室が目の前に迫っていた。


「さて、山下さん覚悟したほうがいいですよ。たぶん、あの人たちが待ち構えていますから」


あの人たちって?……まさかな。


仕事中にあいつらがそんな事をするはずないだろうし……いや、意地でも時間つくりそうか。


小川さが指す“あの人たち”で、俺の頭に浮かんだのはもちろんいつもの3人組。


「……あの人たちって?」


「えー、山下さんとも親しくしてる3人ですよ。今日からリハ室って話をしたら、朝から必死に時間のやりくり考えていましたよ」


その様子を思い出しているのか、クスクスと笑っている。


……って、やっぱりあいつらか。


暇でもないだろうに、なんでわざわざそんな事を。


「何で教えたの?あいつら居たら面倒なのに」


「止めてもあの人たちには無駄でした」


一応は止めてくれたらしい。


どうあしらうか、苦労しそうだ。


小川さんと話している時の俺を見せたくないってのが、1番なんだけどな。


あいつらに惚れるなと忠告をされている手前、たぶんデレデレとしているであろう姿は見せられない。


俺の抱いている感情は決してバレてはいけない。


特に、香坂には絶対に知られてはいけない。


あいつが俺をからかうのは仕方ないとしても、小川さんの事をからかいでもしたら、彼女は絶対に傷つく。俺の勝手な感情で、彼女を傷つけたくはないんだ。

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