【完】白衣とお菓子といたずらと
教えてと何度聞いても、内緒の一点張りだった。
そんなやり取りをしている時だった、ノックもなしに病室の扉が開いた。
――ガラガラ
「……」
「……」
入り口に立っている人物と目があった。
あっ、姉ちゃん。
きっと、俺の目の前で笑っていた小川さんの存在に驚いて静止しているんだと思う。
お互いになかなか言葉を発しなかった。
その沈黙を破ったのは、姉の隣にいた小さな女の子だった。
「あーーーーー!礼央くんが女の子といるーーーー」
姪っ子である七瀬は、思い切り小川さんを指差し、そして叫んでいた。ここ病院なんだけどな。
そして指差された小川さんを見ると、焦っているかと思ったら、そんな様子は見て取れなかった。
焦っているのは俺だけなのか。
「すみません、お邪魔しています。私は山下さんのリハビリを担当しています、理学療法士の小川美沙といいます」
座っていた椅子から立ち上がると、いつも通りに冷静かつ丁寧に、そしてニッコリと笑い、俺の姉へと自己紹介していた。
ただ俺には分かった。最近、ここで見せてくれている笑顔とは違って、仕事の時に貼り付けているような笑顔。一瞬のうちに表情が切り替わってしまった。
「礼央の姉です。弟がお世話になっています」
あまりにも冷静に小川さんが挨拶したもんだから、姉ちゃんもハッとしたように挨拶を返していた。
小川さんの事気になって、聞きたくてうずうずしてますって顔を隠せては居ないけど。
そんなやり取りをしている時だった、ノックもなしに病室の扉が開いた。
――ガラガラ
「……」
「……」
入り口に立っている人物と目があった。
あっ、姉ちゃん。
きっと、俺の目の前で笑っていた小川さんの存在に驚いて静止しているんだと思う。
お互いになかなか言葉を発しなかった。
その沈黙を破ったのは、姉の隣にいた小さな女の子だった。
「あーーーーー!礼央くんが女の子といるーーーー」
姪っ子である七瀬は、思い切り小川さんを指差し、そして叫んでいた。ここ病院なんだけどな。
そして指差された小川さんを見ると、焦っているかと思ったら、そんな様子は見て取れなかった。
焦っているのは俺だけなのか。
「すみません、お邪魔しています。私は山下さんのリハビリを担当しています、理学療法士の小川美沙といいます」
座っていた椅子から立ち上がると、いつも通りに冷静かつ丁寧に、そしてニッコリと笑い、俺の姉へと自己紹介していた。
ただ俺には分かった。最近、ここで見せてくれている笑顔とは違って、仕事の時に貼り付けているような笑顔。一瞬のうちに表情が切り替わってしまった。
「礼央の姉です。弟がお世話になっています」
あまりにも冷静に小川さんが挨拶したもんだから、姉ちゃんもハッとしたように挨拶を返していた。
小川さんの事気になって、聞きたくてうずうずしてますって顔を隠せては居ないけど。