【完】白衣とお菓子といたずらと
日曜はこれといった訪問もなく、1人静かに病室で過ごした。


検温に来たナースが、ほんの少しサボりがてら長居していく位で、のんびりとしていた。


小川さんは無事買い物できただろうかとか、姉ちゃんと何を話したのかとか、結局俺の頭の中は彼女だらけの1日。


そんな1日はとても長く感じた。


いつもなら、リハビリと小川さんが訪れてくれたりと、あっという間に1日が終わっていくのに。






そういえば、もう受傷して1ヶ月経つんだよな。


いつもと大きく違う1ケ月は、あっという間に過ぎたけど、あの日がすごく前のようにも感じる。


……今日は10月30日。もうすぐ、10月も終わる。


窓から見える外を行き交う人々の服装も、随分と変わってしまった。入院した頃は、まだ半袖の人もたくさん居たというのに。


病院内にいると季節感が狂って来てしまう。


冷暖房は完備されているし。そう思うと、贅沢な場所で仕事してたんだよな、俺って。


いよいよ月曜日、また1週間が始まる。


そろそろこの生活にも退屈してしまった。早く退院して、仕事にも復帰したい。


仕事復帰したら、小川さんと対等の立場に戻れたら、男として接近する事が出来るだろうか。


それとも同僚に戻ったら、関係も以前のように戻ってしまうのか。特に話もしないただの同僚に。


後者は……絶対に避けたい。
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