【完】白衣とお菓子といたずらと
小川さん、俺の誕生日知ってたんだ。


そりゃあ当然だよな。カルテ見ればそれくらいの情報は載っているし、俺の担当なんだからわざわざ調べなくても、日々目に付くはずだからな。


そして、俺が甘い物が苦手なことも、一度だけした手荒れするって話もちゃんと覚えてくれていたんだ。


あー、やばい、すごく嬉しい。


俺の事を考えて用意してくれた物だということは明白だ。


さっきの彼女の行動は、期待してもいいのだろうか。


お菓子がなかったから、いたずらって意味でのキスかと初めは思った。けれど、彼女の言っていた言葉を思い出すと、それは違う気もする。


ごちそうさまでした、いたずらもなしって言っていたことを考えると、彼女の中では大好きな甘いお菓子と俺へのキスは同等ってことか?


そうだとしたら、期待する他ないだろう。


なんで彼女を強引にでも引き止めて話をしなかったんだ。その点が悔やまれる。

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