【完】白衣とお菓子といたずらと
主治医のリハビリテーション医は、朝食終わりにやってきた。


炎症が落ち着いて、腫れが引いたらギプス固定へ変更されるらしい。


そして、3週から4週間固定のまま。


「絶対に体重かけたらダメ」

と、何度も何度も念押しされた。


体重がかかれば、骨折している骨がずれて手術しなければいけなくなるから。


「ギプス固定になったら、リハビリも始めるから」


この先生が主治医になった時点で予測はしていたけど、リハビリもしなくちゃ行けないらしい。


リハビリ室は行きたくないけどな。


俺のことを知っている患者さんも中にはいるし。


やはり俺だということは極力バレたくはない。


「先生。リハビリはここでお願いしてもいいですか?」


これだけは譲りたくはないと先生に尋ねた。


「しばらくはここでするように言っておくよ。固定が取れたらリハビリ室でしてもらう事にはなるけどね」


「えー大丈夫です。少しでもリハ室に行く時間が短くなるなら」


ホッと胸を撫で下ろした。


時期が来たら処方箋書いておくと言い残し、先生は次の患者のもとへと向かった。


リハビリか……俺の担当は誰になるんだろうか。


職員相手ってやり辛いだろうし、俺の顔見知りになるだろうな。


香坂、池田か大山、もしくは同期の井上かな。


誰も居なくなった病室のベッドで、見慣れた天井を見つめながら、思い当たる人物を思い浮かべた。


気にしなくても、その時になればはっきりするだろう。


そんな事を考えているうちに、痛みで寝不足だった俺はいつの間にか眠ってしまっていた。
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