【完】白衣とお菓子といたずらと
慌しかった午前中とは違い、午後からの訪問者は姉ちゃん位だった。


昨日は姉の家に夕飯のお呼ばれに行っていた。


そんな時の怪我で、そのまま病院に来たため、家の鍵も荷物も何もかも姉の家に置き去りだった。


その鍵を使って、俺の家から着替えとか色々を取ってきてくれたらしい。


細かく指示をしなくても、入院に必要そうなものはほとんど揃っていた。


こんなにがさつな姉でも、女性である事は変わりないらしい。


こういう所はしっかりしているし、目が届くんだよな。


姉も子どもの保育園の迎えがあるからと、遅くならないうちに帰っていった。


そこからしばらくは、何もすることが無く、ボーっと過ごした。







―――「ここだぞ」


静寂を破るように、廊下の外から男の声と、数人の足音が聞こえた。


この声は……
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