【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


私にはいつでも帰れる場所がある。


そう、隆之さんのいる場所に---




だから…、


もう少しだけ頑張れそうだよ。




「ありがと、隆之さん」


「無理するなよ」


「うん。あっ…、そう言えばなにか私に用事でもあったの?」


電話をかけてきたんだから、きっと何かあったんだと聞いてみた。




「いや…、綾香の声が聞きたくなってな」


その言葉に私の口元に笑みが浮かんだ。




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