【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
結局、佐伯先生授業をサボってしまった---
こんなに気持ちの良い日に授業を聞いているだけなんて、何だかもったいない。
そんな思いが私を埋めつくしフラリ…と、外へと出てしまったのだ。
二時間目の始まりのチャイムが辺りに鳴り響く---
「授業が始まってしまった…」
佐伯先生に、また呼び出しされちゃうかな?
はぁ、めんどくさいなぁ…と、思わず溜息をつく。
ま、しょうがないか---
開き直った私はさて、これからどうしようかな…と、辺りを見まわした。
今、自分がいる場所は下駄箱を出てすぐ近くの水のみ場。
遠くからは外で体育をやっているのか、ザワツク生徒達の声が聞こえてきた。
あ、噴水前にあるスウィートガーデンに行ってみようか…
そう閃いた私は、自然と足をそちらへと向けた---
…が、
あ、ダメだ…と、思いとどまる。
その場所ってたしかグランド付近にあったはず。
今、そんなところに行ったら、外で体育の授業をしている人達に見つかってしまうではないか。
サボるには最適とは言えない場所だったようだ。
さて、どこに行こうか?
首を捻って考えてみた。