【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


暫くしてふと頭を過ぎった場所。


それはグランド奥にある木々のたくさん生えた、生徒があまり足を向けない場所だった。


そこならサボるには最適かもしれない---



一歩…、


一歩…とゆっくり足を進めながら、空を見上げる。


そこには教室の窓から見た景色と同じで、澄み渡る空が広がっていた。




「はぁーーーー」


気持ちが良い---




トロン…と、目を細める。


この学校は山の中にあるという事もあって、空気がとても美味しく心地良い。


それに加えて気持ちの良い風が吹いていれば、もう最高…としか言いようがない。



いつもなら授業をサボった日や休みの日は、こんなに暢気に出歩いてはいない。


情報を仕入れるために町へ繰り出しているのだ。



でも、さすがにこんなに気持ちの良い日くらいはサボってもバチは当たらないよね?



誰に聞くでもなく頭の中で言い訳しながら、フラフラ歩く。



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