【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


空を見上げ飛んできたボールを確認したのなら驚きはしないが、まさか飛んできたボールの音を聞き分ける事が出来るとは…



いくら耳が良くてもそんな事…、通常ではありえない---


が…、そんな事はもうどうでもよい。




普段のわたしだったら、耳が良いと言われたところで納得せずに相手をずっと質問攻めにしていただろう。



しかし、初めて会ったばかりの綾香さんにだけは別だった。




私を叱咤する女性など初めで…、


その綾香さんが耳が良いから、と言うのであれば私はそれですぐに納得した。




綾香さんは私にとって、特別な人だから。


あの方がそうだと言うのなら、そうなのだ。



< 136 / 779 >

この作品をシェア

pagetop