【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
ダラダラと歩きながら購買でパンを買い、今度は屋上を目指す。
屋上に鍵がついていないといいな…
なんて思いながら軽快に足を動かし、屋上の扉を開けた。
カチャッ…
扉を開けると眩しい光が一斉に私を襲ってきて、片目を瞑る。
うっすらと視界に入った視線の先には一面のコンクリートが広がっていて、誰も見当たらなかった。
今は授業中。
こんな時間に屋上へと足を運ぶ人間なんて、私くらいだもんね。
それより…、
「鍵が開いてて良かった」
屋上は基本、生徒は立ち入り禁止だから扉は閉まっていると言う噂を聞いていた。
だから屋上に入る事が出来るなんて、期待はしていなかったのだ。
もし開いてなかったらまた、外にでも行こうとしていたんだけどね。
トコトコと屋上を張り巡らせてある金網の一部で日陰になっているところを見つけたので、そちらに向かって歩いた。
と言っても、歩いて数歩だけど---