【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
また、生徒会室内は静けさを取り戻す。
生徒会の面々を見回した俺は、すぐに自分の席へと戻り仕事を始めた。
他の皆も何を言うでもなくソファーを離れ、自分の席に向かっていく。
その様子を手元の紙を見ながら伺っていた。
あんなに『紅』を探していたのに見つかった途端、何故こんなにも静かなのか?
それはもしかすると『紅』を皆で共有する筈が、『紅』である『綾香』個人を自分の手中に収めたいという気持ちが強くなり、複雑な気持ちが生まれたのかもしれないな---
まぁ、コイツらの考えなどどうでもいい。
それよりも考えなければならないのは『紅』である、東條綾香の事だ。
あの女は知っているのだろうか?
…いや、知らないのかもしれない。
この所、町で頻繁に『紅』が出没していたのはきっとそれを知りたいがゆえに探し回っていたのだろう。
さてと…、
これからどうするべきか---
【金獅子SIDE END】