【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


今日はどうにも調子が悪い。


仕方なく女の子には用事を思い出したと言い残し、早々に帰る事にしたのだ。




理由は---


分かっているようで、分かっていない。



ただいつもと違うのは女と一緒にいる時、なぜか綾香の顔がチラついて集中出来なかったところ。




女を見ながらも綾香の紅の瞳が脳裏を過ぎり、そして女の甘い吐息が綾香とダブってしまった。



まるで…、


綾香が白い頬を染め艶めいた唇を開き俺を誘っているように見えたのだ。




ゴクリと喉がなりその女を貪るようにキスをする。


目を閉じると綾香とキスをしているようで、身体が熱く燃え上がった。




< 287 / 779 >

この作品をシェア

pagetop