【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


これ以上、思い出したくなくて思考を中断した。




そして俺の横で眠る、朱利の温かい頬をソッと指で撫でた。




毎日のように俺のベットに入ってくる、愛しい朱利---


ピクッと顔を震わせフイッと俺から背を向けるとまた、クークー寝息をたて始める。



一人で眠るのはイヤだと隣の部屋からやってくるこの弟が凄く愛しい…




その愛しい人を見てクスッと笑っていると、また母様の事考えてしまった。



『紅』がアルビノだったら母様と同じだから分かってあげられると思っていたのだけれど…、


違ったみたいでガッカリした。




だからもう…、


綾香に興味はない---



そう思っていたのに何故か、綾香のあのエネルギーに満ちた紅色の瞳を思い出すと胸がドキドキ…というよりドクドクと高鳴るのだ。


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