【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
全ての画鋲を取り終えた穴だらけの上履きを受け取り、履き替える。
そして靴を下駄箱に入れようとして…、考えた。
この中に靴を入れたらきっと、またやられるよね?
ビニール袋に靴を入れ、持っていた学校指定のスポーツバックに突っ込む。
そして良牙に行こうと促した。
私の横を歩きながら、ジッとこちらを見てくる良牙に気がつく。
何か言いたい事でもあるのだろうか?
「良牙?」
「…いつもあぁなのか?」
「いつも?…上履きの事?。初めてだよ」
「何で…」
何で…、とは何で上履きがあんな状態になったのか聞きたいのだろう。