【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
それにしてもまずった…、
その一言に尽きる。
何やってんのよ、私は---
走りながら思わず大きな溜息を吐いた。
つい言ってしまった先程の言葉に、かなり後悔してしまう。
どのくらい走ったのだろうか?
先程までいた場所から大分離れたところへと辿り着いた私は、少しずつ足取りを緩めて行った。
あいつ等が私を追いかけて来る気配がまるでない…
辺りを見回すと、いつの間にか住宅街へと足を踏み入れていた事に気付く。
道を歩く人はこの時間、酔ったサラリーマンがいるくらい。