【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「………一人で大丈夫か?」
「全然大丈夫だよ」
「………そうか」
心配そうに私を見ながらも、ホームルームが終わると同時に急いで教室を出て行く良牙を見送った。
その後姿を見ながら一人でいる事が当たり前だった私が寂しく感じたのは、当たり前のように今日も良牙が私の傍にいてくれたからなんだろうな---
手元のプリント片手に鞄を持ち、そして立ち上がった私は一つ溜息をつく。
本当は生徒会室に一人で行きたくはない。
昨日、勝手に生徒会室を飛び出してしまった事を思い出すと気分が一段と憂鬱になってしまうのだ。