【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


自分のクラスである1-Sの前へと到着し、後ろ扉から静かに入った。


ザワツク教室の中へと下を向きながら歩き、そして自分の席である窓際の後ろの席に座る。



本来なら綾香の苗字は東條だから名前の順で行くと、真ん中辺りが自分の席となるのは必然。


しかし窓際の一番後ろ…と言う目立たない席を何故確保できたのか?


それは以前、この席に座っていた女子生徒の視力が弱く黒板が見えないと言うことで私と席を交換する事になったからだ。



机にカバン置いた綾香は、中身を机の中へと入れる。


そして辺りをきょろきょろと見回した。



なんか…、

いつもと雰囲気が違う?



どうもこのクラスにいる殆どの生徒達は、興奮したように何かを話しているのだ。



一体、何があったのか?


首をコテンと傾げ、頭にクエスチョンマークを浮かべた。



いくら人と関わりたくない綾香とて、いつも通りではない雰囲気を見せられては気になるのだ。


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