【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
もし始めてのキスの相手が桐生先輩だったら…、
鏡夜だったらきっと会長の事なんか、こんな風に思う事なんてなかったはず---
そう思いながらもそう言えば…と、会長との初対面の時の事を思い出した。
金獅子と呼ばれていた会長が私を呼んだ瞬間、胸が熱く高鳴った事を…。
あの時の私は金獅子に何かを感じたけどすぐに、その気持ちに気づかない振りをし蓋をした。
その気持ちはもしかしたら、これだったのかもしれない---
…ダメだ。
私は会長を好き…なのかもしれないけど、今はそんな事を言っている暇なんてないのだ。
瞳の事を知ることと、母さんが誰かに捕まっているのならば私は母さんを助け出さなくてはいけない。
だから…
やっぱりこの気持ちが何であろうと、自分の気持ちに蓋をしなければ---