【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「おい金獅子、いつものでいいか?」
カウンターにいるマスターがグラスを拭きながら俺に聞いてくる。
ガタイのよい身体を際立たせるマスターのトレードマークの口髭を見ながら首を振ると、不思議そうな顔をされた。
「………酒」
「ダーメだ。未成年者は禁止だって言ってんだろ?」
「冗談だよ」
俺の言葉にククッ…、と笑ったマスターは拭いていたグラスを置く。
そしてその中に飲み物を注ぎ始めた。
「「あ、金獅子に報告があります~」」
双子が互いに顔を見合わせ楽しそうに頷き、俺に視線を向けてきた。
その様子を見る限り、嫌な予感がしてたまらねぇ。
思わず溜息を吐いた。
「…なんだ」
「実は七人程、退学にしちゃったんだけどいいよね?」
「………」
いいよね?
…と言うよりはもう強制的に退学にしてしまったんだろう。
目の前にいる朱雀と青竜を睨むと、朱雀は悪びれもせず笑顔を俺に向けてきた。