【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


周りのみんなは校庭で走っている人を見ている為、私の事を誰も気にも止めてはいない。


おかげでスルリと入場門を潜る事が出来た。



急いで走ったからかさほど時間をかけずに第3倉庫付近についた…が、倉庫前には人っこ一人いない。



おかしいな?


倉庫周辺をぐるりと見てまわってみようか?


そう思ったところで、端の方に一人の男性が立っている事に気付いた。




まるで私の事をずっと待っていたかのように---




「すみません、ちょっといいですか?」


「…何か用?」



あまりの怪しさ満点に疑った眼差しを向けながら、その男に返事をする。


< 585 / 779 >

この作品をシェア

pagetop