【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
周りのみんなは校庭で走っている人を見ている為、私の事を誰も気にも止めてはいない。
おかげでスルリと入場門を潜る事が出来た。
急いで走ったからかさほど時間をかけずに第3倉庫付近についた…が、倉庫前には人っこ一人いない。
おかしいな?
倉庫周辺をぐるりと見てまわってみようか?
そう思ったところで、端の方に一人の男性が立っている事に気付いた。
まるで私の事をずっと待っていたかのように---
「すみません、ちょっといいですか?」
「…何か用?」
あまりの怪しさ満点に疑った眼差しを向けながら、その男に返事をする。