【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「あそこを見て頂けませんか?」



焦ったようにそう言った男は遠くの方を指差す。


あそこ?


何かあるんだろうか?



戸惑いもせずその男の指示通り、指で指し示す方へと視線を向けてみた。



そこにはいつもと変わらない風景が広がっており、思わず眉を潜めた。


いったいどこを見ればよいのか…




「どこ…ッ……」


どこを見ればいいの?


そう聞こうと思った時だった。



バチッ---


振り返った瞬間、私の首筋にビリッとした電気のような痛みが走りそのまま暗闇へと飲みこまれていった。



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