【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「こっちだ」
扉近くに身を隠していた父さんが母さんを抱え、恢の戦っている方向へと向かったのに気づきすぐさま私も父さんの背を追いかけた。
恢がかなりの数の敵を倒したから、辺りには多くの敵が倒れている。
殆ど息をしていない---
黒ヒョウになっていない恢の強さは私以上だったけれど、獣となった恢の強さは人間だった時以上なのだろうか?
通路を抜け階段を下り、やってきたのは学校の体育館くらいある玄関ホールだった。
そこでも銃撃の音が絶えず聞えてくる。
ホール内の様子を探るため私と父さんは傍にあった柱の影に寄り、ソロリと伺い見た。
そこにはホールへと一気に走り出して行った黒ヒョウと、多くの黒服達の姿。
そして---