【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「良牙…、れ…ん……」
入り口付近で黒服達と戦っている、二人の姿が目に付いた。
見える姿はこちらからでは遠くて分かりづらいけれど、それでもその姿が蓮と良牙だと言うのはすぐに分かった。
二人共、本当に来てくれたんだ---
「……いっ」
安堵から辺りを警戒するのを怠っていた私の頬に、銃弾が掠めていった。
ほんの少し掠っただけなのに、拭った手の甲に血がベットリとついている。
ついてない---
私の眉が寄った。
「はぁー」
一つ溜息を吐きながら後ろから来た敵を、いらつく思いを込めて蹴り上げる。