【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「綾香っ!」


蓮の声が聞こえ視線を向けると、敵を倒しながら私を見ている姿が目に付いた。




「蓮!」


「今、そっちに行くから待ってろ」



そう言いながらも今だ手を休めず戦っている蓮の様子を見ると、まだ私の傍にはこれそうにはない。


とにかくここにいる敵を倒さなくては、皆と合流出来そうにはないみたいだ。




よしっ!と気合を入れ、次々と襲い掛かる銃弾に神経を集中させながら敵を倒していく。




『止まりなさい』


「…ッ?!」



この建物全体に響き渡る男性の声が突如聞こえ、今まで私達と死闘を繰り広げていた黒服達が一斉にその声で止まった。



それにつられるように私達も止まり、その声に耳を澄す。




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