【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「いやぁぁぁぁぁぁー…」
綾香の叫び声にはっと我に返った俺が見たものは、地面に叩きつけられ倒れている白蛇だった。
目の前が真っ暗になった感じがした。
俺の母さんだと綾香が言っていた、白蛇であるその人が血だらけで倒れていたのだ。
首筋から血が噴出し、辺りに血溜まりが出来ている。
それを見て、俺の気持ちが一気に高ぶる。
持っていた刀を両手で構え、巨大な熊を睨み付けた。
ゴメンな…。
章平…、本当にゴメン---
これ以上、俺は自分の母親が傷つくのを見ていられないんだ。
刀を構え一気に巨大熊へと高くジャンプし、そして思いっきり腹を切りつけた。
シャッ---
ダーーーーーンッ…---
着地した俺は熊が床へと倒れる様を、まるでスローモーションのように見ていた。