【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「…俺はお前が好きなんだ。お前がいなくなったら俺は一体、どうすればいい?」


「れ…ん…」


「お前は俺の事が好きだと言ったよな?それでも恢に着いて行くって気持ちも分からなくもないが、残された俺はどうすればいいんだよ」



私…、間違えてたの?


恢を一人にしたくないと言う思いだけで、自分の好きな人の気持ちまで考えることが出来なかった。



悲痛な顔でユラリと金色の瞳が揺れる。


そんな蓮の身体を私も抱きしめ返した。



前方では扉から出て行く間際、チラリとこちらを見てすぐにホールを出て行った恢の姿が見えた。



あなたに着いて行くと言ったのに、着いていかなくてごめんね…。


蓮が私を必要としていると聞いてしまったら、私も大好きな蓮の傍を離れたくないと思ってしまったの。



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