【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「ほら、まずはここから出ることが先決だ。行くぞ」


父さんの前に良牙と蓮が付き、私は父さんの後ろからついて行く事にした。



この研究所の廊下はどこを見渡しても白壁のみ。


特に目印もないから、初めて来た私にはまるで迷路のようだ。


しかもかなり大きな建物だから、ここで一人になったら迷子確実だな…とどこを歩いているのか分からない長い廊下を歩きながらそう思った。



迷子にならないよう、シッカリと父さん達の後をついて行かなくちゃな。




ひたすら歩いていると、結構簡単に出口へと辿り着いた私達。


出入り口も開いていて、皆ですんなりと外に出る事が出来てびっくりだ。



まさかこんなに簡単に外に出られると思ってなかったものだから一気に力が抜け、へなへなと座り込んでしまった。



そんな私の腕を蓮が掴み、立たせる。




「蓮?」


「早くここから離れるぞ」


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