【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「何で?」


「………」



怖いくらいに蓮に睨まれてしまった。


そんな蓮を見て、私の頭の中ではクエスチョンマークがたくさん飛ぶ。



もう敵が襲って来る様子もない。


けどまぁ、のんびりしている場合ではないのは分かっているから先を歩いている父さんに続き私も歩きだした。




敷地の周りには高い塀が囲っていて、塀の外は家なんて一つもない。


塀から外に出る為の門も父さんのおかげか開いていて、ここも難なく潜り抜けられた。



ようやく私達はこの研究所から脱出出来た。


そう、安堵した時だった---




ドォォォォォォォォォォン---



物凄い地響きと爆音が研究所から聞えてきた。


あまりにも大きな音で鼓膜が痛い。



何があったの?



バッと後ろを振り返って、目を見開いた。


先程まで私達のいた建物が、燃えていたのだ。



先程の大きな音からすぐに研究所が爆発したのが分かったけど、急にどうして?




目の前では建物の大半が爆破の影響で崩れ落ち、建物を火が覆っている。



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