【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「爆破スイッチの他に、脱出スイッチもある。その存在を桐生君が知っていれば、問題はないはずだ」
抱いていた母さんをコンクリートの上へと置き、父さんが私に話しかけてきた。
「じゃぁ、脱出用の存在を知らなければ?恢はどうなるのよっ!」
「…それでももう、こんな状況で今から助けに行ったとしても…」
「行ったとしても、何?」
「死んでいる」
父さんのバカッ!
どうしてそんなに平然と言えるのよッ?!
恢が…、
恢を助けに行かなくちゃ!