【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「さ、いくら変身人間は治癒力が高いからといっても、母さんを早く病院につれていかないとな」
「変身人間って治癒力が高いの?」
「そうみたいだぞ」
本当かな?
半信半疑で母さんを見た。
そう言えば首元の傷口はもう閉じられている。
ビックリだ。
呆気に取られている私を余所に母さんを抱き上げた父さんは、さっさと歩き始めた。
それに続くように私達も歩き出す。
「………?」
蓮に手を差し出された。
何?と小首を傾げると、手をグイッと取られ手をつながれる。
恋人繋ぎでだ。
驚いたけど、ま、いっか…と手を繋いだままでいた。
温かい蓮の手が心地良くて気持ちいい。