【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
私はこのまま蓮と共に歩いて行ってもいいのだろうか?
一度は恢と共に生きて行こうとしたのに、蓮はそれを許してくれているようだ。
それに甘えてもいいのかな?
後ろを振り返りもう一度、燃えている研究所を見た。
恢は…、
本当に大丈夫…だよね?
あれ?
一度でも私は恢について行こうと考えたけどそれってもしかして、少なからず私は恢に惹かれていたのではないか…と---
フルフルと首を振った。
それは考えてはいけないような気がする。
うん、多分そうだ。
だから…と、私はよく分からないこの感情にしっかり蓋をしようと心に決めた。
蓮を見上げる。
サラサラ揺れる金の髪に男前な顔立ちが私を捉え、金色の瞳がふっと目を細めた。
それにつられて私も微笑む。
そしてもう一度、振り返った。
煙が辺りを充満するその中で、ふと恢の匂いを感じた気がしたから---