【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「どうした?恢…」
「グゥゥゥゥ…」
父親の目の前にたどり着いた瞬間、唸り声を上げた。
そんな俺に何かを感じたのか、父親の顔は一瞬で青ざめる。
俺は戦闘態勢を取り、睨み付けた。
そして一歩、足を踏み出す。
すると父親は、震える足を何とか動かしながら一歩下がった。
俺は思わずニヤリと笑ってしまった。
クソオヤジが、
母さんを平気な顔で殺しやがって。
死ね---
「グワゥッ」
「ギャァァァァァァー」
血の匂いが…、
辺り一帯に充満した---
口元についた血をベロリと舐め上げ、目の前の塊に視線を向ける。