【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


母親が死んでからの父親は狂ったように研究に没頭し、俺の事なんか全く見ちゃくれなかった。


だから、コイツは死んで当然だ---



いや…、


死ぬ事によって、正気に戻れたんだ。



感謝されても良いくらいの筈。




『恢…、すまな…かった…』



それがコイツの最期の言葉---



俺のやるべき事はコイツを殺すことだけだと思っていたが、まだあったと気付いた。


それはこの研究所自体を壊してしまう事。




ペロリ---


父親の首筋の傷を舐め上げた。



それはまるで誓いであるかのように---


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