【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
ダンッ---
拳を思いっきりそのスイッチに向かって殴りつけた。
今までの思いを込めて。
ビーッ、ビーッ、ビーッ---
警報音が鳴り響く。
この部屋の電気が全て消え、一気に室内が暗くなった。
これで五分後には、この研究所は吹っ飛ぶ。
ふっと力が抜けたように、口角が上がった。
もう、これで俺のやるべき事は全て終わった---
ここが俺の墓場なのも悪くはないな…そう思った時、綾香が俺に着いていくと言ってくれた言葉が脳裏を過ぎる。
こんな俺に着いて行くと言ってくれた。
その一言を思い出しただけで死のうとしていた自分が今、生きようと考えた事に驚いた。
俺の傍に、綾香はいないのに---