【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「そう言えば優勝はS組だったらしい」
「へ?」
蓮の突然の言葉に驚いて横を向く。
目が合った瞬間、そんな私の顔を見て蓮がクッと笑った。
「体育祭の事だ」
「体育祭?」
そっか…、S組優勝したんだ---
今日は本当に色々な事があったから、S組が何位だったのか全く気にしてなかったよ。
だって黒服達に連れ去られた私は、本当にそれどころではなかったんだもんね---
あ、そう言えば…ともう一度蓮を見る。
ずっと私を見ていたのか、すぐに蓮と視線が合った。
「蓮もS組だったよね?…二年生だけど」
「あぁ、だからここにいる三人皆、優勝だな」
ニッと笑った蓮に私は思わず苦笑い。
途中までしか体育祭に出れなかった私としては、優勝したと言われても全く嬉しい気持ちが湧かないしね。
それよりも体育祭実行委員の委員長としては、体育祭が無事終わった事の方が嬉しかったりする。