【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「よし、生徒会室に行くか」
「あ、うん」
蓮に頷くと、逆隣にいた良牙がピタリと足を止める。
それにつられるように、私と蓮の足も止まってしまった。
「じゃぁ、俺は帰るな」
「お前も来い」
大きな口を開けて欠伸をしかけた良牙に、蓮がすかさずそう言った。
そんな蓮の言葉に嫌な顔をしながらも良牙は頷く。
そしてまた私達が足を動かしたところで、頭上から羽音が聞えてきて空を見上げた。
そこには紅色の瞳を持つ鷹が、上空を旋回している。
『ピェーーーーーッ!』
バサバサッと大きな羽音をさせながら、ずっしりと重い身体を私の肩に乗っかってきた。
それは勿論、私の親友である鷹の『飛翔』だった。