【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「飛翔ッ!」
顔に擦り寄ってきた飛翔の頭を撫でくり回すと、『ピェーピェー』と甘えた声を出しながら更に擦り寄ってくる。
「もしかして私の事、心配してたの?」
『ピェー』
「ありがとう」
本当のところ、そう言ったかどうかは分からない。
でも、返事を返してくれた飛翔にはもしかしたら私が連れ去られたところを見られていたのかもしれないね。
心配かけてごめんね…と、言いながら頭を撫でた。
鷹---
そう言えば私には鷹の遺伝子が入っているんだっけ。
恢に言われたことを思い出しながら、ジッと飛翔を見た。
飛翔は感じているのかな?
私に鷹の遺伝子が入っている事を---
ぼんやり考えていると視線を感じた。