【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「ごめんなさい。私のせいで静香さんにケガをさせてしまって」
「気にしないで下さい。…それにそのおかげで、静香殿に対する自身の気持ちも知る事が出来ましたし」
そう言って私を安心させるかのように頭を撫でる章吾を見上げた。
顔を見ると本当に怒っている様子はない。
むしろ呆けた顔だ---
もしかして静香さんと上手くいったのかな?
そうだと嬉しいんだけど。
チラッと伺い見るように章吾を見ると、カァッと顔が赤くなっていく。
それを見て、私はニンマリしてしまう。
「章吾…、もしかして静香さんの事?」
「…今更ですが、静香殿を愛している事に気づきました」