【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
まさかね…、と蓮を見たらフイッ目を逸らされてしまう。
えぇッ?!
それってどういう意味?
「研究所の事ですとか綾香殿の紅色に変わる瞳の意味などです」
「そ、そっか…」
きっとここにいる皆はもう、全部知っているんだろうなと思うと身体が脱力する。
「綾香」
私を呼ぶ声に横を向くと、飲み物を持ってきた時政先輩が私を見下ろしていた。
何だろう?
ジッと時政先輩を見るとニッコリ私に微笑み、そして私の前に飲み物をコトンと置いてくれた。
「ココア?」
「はい。お疲れの顔をしていたので甘いココアが良いかと思ったのですが…」
「ありがとうございます。凄く嬉しいです」
そう言って微笑むと時政先輩もそれに笑顔で返してくれた。
それから時政先輩は、ここにいる皆にもコーヒーや紅茶を配り始める。