【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


まさかね…、と蓮を見たらフイッ目を逸らされてしまう。



えぇッ?!


それってどういう意味?




「研究所の事ですとか綾香殿の紅色に変わる瞳の意味などです」


「そ、そっか…」



きっとここにいる皆はもう、全部知っているんだろうなと思うと身体が脱力する。




「綾香」


私を呼ぶ声に横を向くと、飲み物を持ってきた時政先輩が私を見下ろしていた。



何だろう?


ジッと時政先輩を見るとニッコリ私に微笑み、そして私の前に飲み物をコトンと置いてくれた。




「ココア?」


「はい。お疲れの顔をしていたので甘いココアが良いかと思ったのですが…」


「ありがとうございます。凄く嬉しいです」



そう言って微笑むと時政先輩もそれに笑顔で返してくれた。


それから時政先輩は、ここにいる皆にもコーヒーや紅茶を配り始める。


< 755 / 779 >

この作品をシェア

pagetop