【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「いや…、でもね『綾香に拒否権はねぇ。これ、生徒会全員一致で決まった事だから』」
「はっ?…蓮?」
話しに割り込んできた蓮は私から視線を逸らすように明後日の方向を見ながら、コーヒーを飲んでいる。
どういうことでしょう…、
蓮様?
ジーッと蓮を見ていると視線を私に戻し、フーッと溜息を吐きながらコーヒーカップを置いた。
「生徒会役員はこの学園内で人気者の集まりだって知ってるよな?」
その言葉にコクンと頷く。
それは知ってるけど、自分で言ってて恥ずかしくないのかな?
心の中でプッと笑ってしまった。
「そんな生徒会役員と仲が良いとなれば、周りの生徒達はソイツに対し何かしらの制裁が行なわれる。現に綾香は生徒達に手を出されただろう?」
「まぁ…」
大した事はされてないけど、頷いておいた。