【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「私…、守ってもらわなくても大丈夫だけど」
「大丈夫?現に今日なんか二回も捕まったじゃないか」
何言ってんだ?とでも言うようにジットリと横目で見る蓮のその言葉に、グウのねも出ず黙り込んでしまった。
「自分の女が今日みたいに何かしらの事件に巻き込まれるなんて、俺はイヤなんだ」
「蓮…」
蓮の言葉に、この場にいる殆どの者の身体が固まった。
勿論、良牙は私と蓮の事を知っていたから気にもせずゆったりとコーヒーを飲んでいたけどね。
「どういう事だ?綾香」
「まさか…。蓮と付き合っているなんてそんな冗談は言いませんよね?」
鏡夜と時政先輩が同時に私に聞いてきた。
どう答えたらよいものか?
蓮に助けてもらおうと横を見ると、ニヤリと笑っている蓮と目が合う。